【広島県・旧比婆郡の伝統芸能】比婆荒神神楽を見る!その3

お待たせいたしました!
比婆荒神神楽を見る!その3です。

公開した本日は2025年大晦日。
今年1年も皆さんお疲れ様でした。
お正月に見られている方も多いかもしれませんが(笑)
今日は巳年最後の日です。
来年は午年ですが、高々と飛躍する前に!
蛇の最後の日に神楽の大蛇登場です!!

<前回まではこちらから>
【広島県・旧比婆郡の伝統芸能】比婆荒神神楽を見る!その1

【広島県・旧比婆郡の伝統芸能】比婆荒神神楽を見る!その2

前回までは、「比婆荒神神楽」の前半。
比婆荒神神楽の特徴が表現されている「七座神事」をご紹介いたしました。

2025年11月15日(土曜)
夜7時30分ごろから始まった神楽は七座神事の演目を終えて一回休憩が入りました。

<七座神事>
打立(うったて)
曲舞(きょくまい)
役ざし・指紙(さすかみ)
榊舞(さかきまい)
茣蓙舞(ござまい)
猿田彦の舞
神迎えの舞

この時点で日付が超えて0時過ぎ。
後半は日本神話に基づいた演目となります。

1時過ぎくらいから後半が始まりました。
ここまでくると、見に来られている地元の方も、ある意味で強者揃いと言いますでしょうか。
お酒も進み酔っ払っている方や寝落ちされている方もいらっしゃいましたが、神楽の太鼓の音で目を覚まして、後半の演目を待ち侘びていたかのように見ていました。

当日は、いろんな演目が披露されていましたが、大きく分けて「国譲りの能」「八重垣の能」「岩戸開きの能」が行われました。

■国譲りの能
葦原中国(あしはらのなかつくに)を納めていた大国主命(おおくにぬしのみこと)に対して、天照大御神が国を譲るように命じた話で、使わした使者(刺客)の二柱の神「経津主神(ふつぬしのかみ)」と「建御雷神(たけみかづちのかみ)」が、大国主一家と問答、合戦する内容です。

▲中央が大国主命、右が建御雷神、左が経津主神です。

「大国主命」vs「経津主神と建御雷神」の国譲り問答が行われます。特に、建御雷神の問いただす迫力のある台詞が見事でした。神楽中では、建御雷神が大国主命のことを「オオクニガミ」と言っていました。大国主命が国譲りを受け入れないため、戦いが始まります。

その後、大国主の息子二柱「事代主命(ことしろぬしのみこと)」と「建御名方神(たけみなかたのみこと)」が登場します。

大国主命の長男「事代主命」は、国譲りを受け入れます。

しかし、次男「建御名方神」は国譲りに反対して、大合戦となります。合戦の様子を神楽で表現しており、刀や長刀を使った激しい舞が見どころでした。

建御名方神は刀や長刀を取り上げられ「降参するか?」と問い詰めるも、「まだまだやる!」と言い返し激しい舞が行われ、観客も楽しげに見ている様子が印象的でした。観客からも「まだまだ!」との声援があり、「もういっちょやるか!」と舞が行われる様子が非常に印象深かったです。歌舞伎の掛け声と似た様子で、全体が一体となっていました。最後は降参して終了です。

■八重垣の能
須佐之男命が八岐大蛇を退治するお話。奇稲田姫命(くしなだひめのみこと)を大蛇から救うお話で、奇稲田姫命の親で爺と婆からこれまでの経緯を須佐之男命が聞いている様子から大蛇の退治までが行われました。爺が須佐之男命に事情を伝える長台詞が見事で感動しました。
話し合いの結果、奇稲田姫命を嫁にくれるなら、大蛇を退治する申し入れがあり、爺婆が受け入り、大蛇退治の準備が始まります。
▲中央に須佐之男命、右に爺、左に婆。

▲左:須佐之男命、右:奇稲田姫命

計画としては、酒に酔わせて寝ているところを退治する作戦で、まず酒造りから始まります。

▲酒造りの様子。中央にまつのうさん。
酒造りの神様が「松尾明神(まつおみょうじん)」で、酒造りの一連の流れを現代的なアドリブも踏まえながら面白おかしく話しながら酒造りが行われました。
松尾明神は、親しみを込めて「まつのうさん」とも呼ばれています。

酒が完成したところで、いよいよ大蛇が登場です!
神楽では、2匹の大蛇が口から火花を出しながら、時に絡み合い、前後に動きながら、大蛇の恐ろしさを表現していました。
そして、用意した酒を見つけて、いよいよ呑みます。

▲お酒を呑んで酔っ払う大蛇。

▲大蛇と戦う須佐之男命。

▲荒れ狂う大蛇と対峙する須佐之男命。
酒が回って酔ったところで須佐之男命が登場し、壮絶な戦いを繰り広げて、まず1体の大蛇の首を切り落とし、さらにもう1体の大蛇に挑みます。

そして最後に大蛇を倒し、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を須佐之男命が手にし終了します。

普段の比婆荒神神楽では、大蛇の演目で終了するそうですが、この日は特別に「岩戸開きの能」が披露されました。

■岩戸開きの能
天照大御神が須佐之男命のいたらずらにひどくショックを受けて天岩戸に隠れてしまい、世界が暗闇になって、困り果てているところを、それぞれの神様が話し合って、天照大神を岩戸から引っ張り出す作戦を神楽で表現しています。
神様たちが話し合って、知恵の神様に話を聞いたり、踊る役を決めたり、天照大御神を引っ張り出す役を決めたり、また岩戸にお隠れにならないようにしめ縄を締める役を決めたり、工夫を凝らして天照大御神をお迎えする様子を能で面白く表現されていました。
▲天鈿女命(あまのうずめのみこと)による舞。

▲最後に岩戸から天照大御神が登場します。

岩戸開きの能が終了して明け方5時ごろでした。
一晩中神楽が行われていると話では聞いていましたが、実際に拝見すると想像以上にあっという間でした。ですが、実際に神楽を演じられている太夫さんはじめ神職の方々は肉体的にもとてもハードだと思いました。
しかし、350年以上も続く地域の神楽が今でも継承される続けていることに改めて感動しましたし、何よりも「また来年もぜひ見に来てください」と言っていただいたことにとても嬉しくなりました。

今回、人生ではじめて本格的な神楽を拝見させていただき、とても貴重な体験ができました。改めて庄原市東城町の皆さんはじめ、地域の皆様に感謝申し上げます。

そして、いつも当ホームページを見に来ていただいている皆様。
いつもありがとうございます。
良いお年をお迎えくださいませ!

2026年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

2 thoughts on “【広島県・旧比婆郡の伝統芸能】比婆荒神神楽を見る!その3

  • 分かりやすい解説、ありがとうございます。演じられる方も普段の準備や練習が大変だと思いますが、見学する方も事前に学習しておくことが、必要だと感じました。要所要所でシャッターを切られており、ご苦労もあったことと思います。備北地方は、雪も止み、列車も動いているので沿線にお出かけでしょうか?また色々な写真を拝見させて頂ければと思います。

    • いつもご覧いただきありがとうございます。地域の催し物でも神楽を行っているようです。貴重な伝統芸能ですので、機会がございましたら、ぜひ見てみてください。

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